接骨院を開業するためには主に3つの届け出が必要であり、「施術所を開設するための届け出」、「受領委任を取り扱うための届け出」、「個人事業としての届け出」があります。届け出を提出する場所や期限は異なるため注意が必要です。以下では各届け出の詳細について解説します。
開設届の提出先は保健所です。接骨院は届け出制をとっているので、開設届の提出は開業前にはできません。柔道整復師法第19条において、柔道整復の施術所を開設する場合は保健所へ解説届を提出することが義務付けられているため、必ず提出しておきましょう。なお、提出する書類は管轄の保健所によって一部異なる可能性があるので、予め確認しておくのが大切です。主に必要な書類は以下の通りです。
また、提出する際の注意点として、開設届の写しを提出しなくてはならない点が挙げられます。開設届は受領委任の届出やその他の届出を提出する際にも必要です。保健所に提出する用と控え用を作成しておき、受領印を押印してもらった控えは大切に保管しておきましょう。加えて、余裕を持ったスケジューリングも大切です。解説届を保健所へ提出する期限は「開設後10日以内」であり、場合によっては書類に不備があり再提出が必要なこともあります。受領委任の取り扱いをスムーズに行うためにも、余裕を持ったスケジューリングを心がけましましょう。
保健所へ開設届を提出しただけでは健康保険を取り扱うことは不可能であり、受領委任契約を結ばなくてはなりません。認可番号が受理されないと療養費支給申請ができないため注意が必要です。接骨院で保険請求を行うには、社保(協会けんぽ、健保組合等)、国保、後期高齢、船員保険、退職者国保など、さまざまな契約記号番号が必要になります。地域によって提出する書類に違いがあるので、管轄の厚生局へ問い合わせておきましょう。また、労災保険を取り扱うための届け出も別途必要なので、労働基準局への申請も忘れてはいけません。そして、自衛官系の保険者に請求を行う場合に備えて防衛相番号の取得も必要です。申請書や確約書、・柔道整復師免許証の写しなど指定された書式を提出しましょう。防衛相は毎月20日が締め切りなので、提出日に要注意です。
国家公務員関係の保険者に対して保険請求を行うためには、共済組合連盟への届出が必要です。届出をすると受領委任に必要な共済連盟承諾番号が取得できます。用意すべき書類は以下の通りです。
なお、地方公務員関係の保険請求の場合は、地方共済協議承諾番号が必要であり、提出書類が異なるため、公式サイトで確認してください。
自衛官関係の保険者に対して保険請求を行うためには、防衛省に申請し、防衛省番号を取得する必要があります。契約に関する事務手続きは月末に1ヶ月分をまとめて処理するため、余裕を持った届出が必要でしょう。なお、届出に必要な書類は以下の通りです。
労災の指定機関として施術を行うためには、所轄する労働基準局に申請し届出を行います。通知には約1ヶ月半かかり、労災の指定期間としての指名期間は約2年間。自動更新となっているため、更新は不要です。また、届出に必要な書類は、経営スタイルによって異なるため、公式サイトで確認することをおすすめします。ここでは、共通して求められる書類を紹介します。
原則的に、生活保護受給者は接骨院や整体などに通うことはできません。接骨院などで提供するのは緩和を目的とした施術であり、治療を目的とした施術ではないためです。
ただし、医師から接骨院などに通う必要があるという意見書が出た場合は例外です。このような生活保護受給の患者さんを取り扱うためには、管轄の福祉事務所に届出を行い生活保護法による指定を受ける必要があります。届出に必要な必要書類を確認しておきましょう。
なお、施術機関の指定は、患者さんに施術をする施術者ごとに行うため、柔道整復師免許証の写しも該当する施術者全員分提出が必要です。
開業届は税務局に個人事業主として開業したことを申請するために行います。正式名は「人事業の開業・廃業等届出書」であり、基本的に青色申告を利用します。青色申告は節税効果が高いため利用者が多いです。しかし、個人でも確定申告を行うことは可能ですが、不安な場合は会計士や税理士に依頼することも可能です。
接骨院開業には大きく分けて3つの届出が必要です。
書類に不備があると、施術所の開設ができなかったり、療養費の取り扱いができなかったりと業務に支障をきたしてしまいます。また、受領委任については、国家公務員、地方公務員、自衛官、生活保護受給者など、患者さんによって届出先と必要種類が異なります。請求団体でも、一部届出のサポートも行っているため、必ず公式サイトを確認し、問い合わせを行いましょう。